居合とは
居合とは
居合とは、日本刀を鞘に納めた状態から、相手の動きや状況に応じて刀を抜き、攻防し、残心、納刀までを行う日本の武術です。
「居合の本義は、抜刀の一瞬にあり」と言います。
剣術が、すでに刀を抜いた状態から始まる攻防を中心とするのに対し、居合は、まだ刀が鞘に納まっている状態から始まります。その抜刀の一瞬こそ居合であり、抜いてしまえば剣術です。
相手が敵かどうか分からない。
いつ攻撃が始まるか分からない。
刀を抜く時間さえ与えられないかもしれない。
その状況で、相手の動きを察し、鞘の中から刀を抜き放ち、瞬時に対応する。
そこから始まるのが居合です。
居合は、座った姿勢から刀を抜く技だけではありません。
立った状態、歩行中、相手と向き合った状態、左右や後方からの攻撃など、さまざまな状況を想定し、抜刀、斬撃、受け、かわし、残心、納刀までを学びます。
剣術と居合の違い
剣術と居合は、どちらも日本刀を扱う武術ですが、始まる状況が異なります。
剣術は、基本的に刀を抜いた状態から相手と向き合い、攻防する技術です。
居合は、刀がまだ鞘に納まった状態から始まります。
たとえば、道で偶然出会った相手が、突然こちらを襲おうとしたとします。
こちらが刀を抜き終わるまで、相手が待ってくれることはありません。
刀を抜く動作そのものが攻防となり、相手より先に状況を制しなければならない。
その難しさを修めるのが居合です。
居合と剣道、殺陣の違い
剣道は、竹刀と防具を用い、定められた規則の中で相手と打ち合う現代武道です。
殺陣は、舞台や映像の中で、観客に伝わるように組み立てられた演技です。
一方、居合は、日本刀を扱うための技術を、形を中心に修める武術です。
いずれにもそれぞれの価値がありますが、目的と技術体系は異なります。
居合では、刀を鞘から抜く瞬間、刀筋、刃筋、間合い、身体操作、残心、納刀までを一連の技として学びます。
初心者がいきなり真剣を持つことはありません
鵬玉会では、武道未経験者や初心者に、いきなり真剣を持たせることはありません。
まずは模擬刀や稽古用具を使い、安全な所作、刀の扱い方、正しい刀筋と刃筋を身につけます。
指導者が、十分な技術と安全管理能力が身についたと判断した段階で、初めて試し斬りの稽古へ進みます。
試し斬りは、力任せに物を斬る体験ではありません。
形や組太刀で学んだ技術が、実際の刀でも正しく働くかを検証するための稽古です。
居合の歴史と林崎甚助
居合の歴史を語る際、室町時代末期の剣客・林崎甚助重信の名が広く知られています。
林崎甚助の系統から、多くの流派が生まれ、それぞれ異なる形、技法、思想を発展させてきました。
そのため、居合には一つの正解だけがあるわけではありません。
各流派には、それぞれの歴史と理合があります。
無外流もまた、その独自の形、組太刀、試し斬り、思想を約350年にわたり伝えてきた流派の一つです。
現代の形試合と塩川寶祥宗家
現代では、居合の競技は主に形によって行われています。
戦後、武道をどのように普及し、競技として成立させるかは、大きな課題でした。
杖道や居合の普及に尽力した中嶋浅吉師範と、無外流第15代宗家・塩川寶祥照成は、形試合の発展に大きな役割を果たしました。
昭和36年から大阪城内の機動隊道場で始められた形試合では、塩川宗家も審判を務めています。
鵬玉会は、塩川宗家が目指した、流派の枠を越えて武道を普及させる精神を受け継いでいます。
同時に、形だけに偏ることなく、組太刀や試し斬りを通じて、居合本来の実戦性を現代に伝えています。



