鵬玉会で学べるもの
「四位一体の術」と「禅」
鵬玉会で学べる武道
鵬玉会では、塩川・新名伝 無外流居合兵道と東征流短杖を学ぶことができます。このページでは、主に無外流居合兵道の稽古内容をご紹介します。
国際居合道連盟 鵬玉会では、塩川・新名伝 無外流居合兵道を、単に居合形だけを学ぶ武道とは考えていません。
鵬玉会の武道教育は、
- 形
- 約束組太刀
- 自由組太刀®
- 試し斬り
による「四位一体の術」と、無外流の根幹にある「禅」によって構成されています。
形で、無外流の技法、理合、身体の使い方を学ぶ。
約束組太刀で、相手との間合い、拍子、攻防、機会を学ぶ。
自由組太刀®で、相手の動きが決められていない状況の中で、学んだ技術と判断力を検証する。
試し斬りで、刀筋、刃筋、姿勢、間合いが、本当に斬れるものになっているかを確かめる。
そして禅によって、その技を扱う自分自身と向き合います。
四位一体の術は、技を身につけ、相手と向き合い、刀筋を検証するためのもの。
禅は、その技を扱う自分自身と向き合うためのもの。
術だけでは、技を得ても、その力を何のために使うのかが定まりません。
禅だけでは、心を語っても、現実の中で働く力を持たない観念に終わることがあります。
無外流は、術と禅を別々のものとして学ぶのではありません。
刀を通じて身体を磨き、相手を通じて自分を知り、禅を通じて生き方と向き合う。
禅なき無外流は、ただの暴力。
術なき無外流は、ただの妄想。
鵬玉会が掲げる「斬れる居合」とは、単に畳表を斬ることではありません。
形で学んだ技が、相手を置いた組太刀の中で機能するか。
相手の動きが決められていない自由組太刀®の中でも、自分の間合いと判断を保てるか。
その刀筋と刃筋が、試し斬りで実際に斬れるものになっているか。
そして、その力を持つ自分の心が、正しく整えられているか。
そのすべてを問い続ける修行です。
敷居は低い。しかし、天井はものすごく高い。
武道未経験者でも、年齢や性別を問わず始められます。
その一方で、その先には、形、約束組太刀、自由組太刀®、試し斬り、そして禅を通じて、どこまでも深く武道を追求できる世界があります。
さらに、内弟子となって一般会員では学ぶことのできない稽古に進む道もある。
将来、指導者やプロとして武道に関わる道もあります。
初心者には開かれている。しかし、稽古そのものは武道として真剣です。
鵬玉会の無外流は、敷居は低い。しかし、天井はものすごく高いのです。
形(かた)

無外流には、一般に知られている二十本の居合形があります。鵬玉会では、まず「基本一・基本二・基本三」で、抜刀、刃筋、体の使い方などの基礎を学び、その後、座技十本・立技十本の居合形を学びます。
入門後の基本
基本一/基本二/基本三
座技
五用 真/連/左/右/捨
五箇 水月/陰中陽/陽中陰/響き返し/破図味
立ち技
五応 胸尽し/円要/両車/野送り/玉光
走り懸り 前腰/夢想返し/廻り懸り/右の敵/四方
さらに、奥入書を授与された者は、宗家から内伝五本・奥伝三本の指導を受けます。
内伝
訊雷/見返り/月影感応/一陣/梢風
奥伝
三行一致/神門/万法帰一刀
内伝・奥伝、そして秘伝へ
無外流には、一般に稽古する二十本の居合形があります。
その先には、より深い理合と技術を伝える内伝五本、さらに奥伝三本があります。
奥入り書を受領したものが学ぶことが許され、宗家が指導します。
無外流では、この段階で武号が許されます。
要するにそれまでの「組織の会員」から「宗家の弟子」となるのです。
内伝は、表の形だけでは伝えきれない、実戦における厳しい技術と理合を学ぶものです。
一方、奥伝は単に内伝よりも強力な技を学ぶ段階ではありません。長い修行を経た者が、刀を振るう意味そのものと向き合う形です。
「一法実無外」から「万法帰一刀」へ
無外流の修行は、最初に学ぶ基本の抜き打ち横一文字から始まります。
流祖・辻月丹が遺した、
一法実無外
という言葉があります。
宇宙の真理はたった一つ。その外には何もない。
修行者は、「真理の一刀」を追い求めながら、数々の形を学んでいきます。
そして奥伝の最後に学ぶのが「万法帰一刀」です。
「たくさんのことを学んだだろう?でもすべてはこの一刀に帰るのだ」
再び抜き打ち横一文字へ帰ります。
動きだけを見れば、最初に学んだ基本と同じように見えるかもしれません。
しかし、その意味はまったく異なります。
万法帰一刀は、相手を斬りません。
「生きながらえよ、命を全うせよ」と思っているのでしょうか。
最初の課題が横一文字。
最後に学ぶのが横一文字。
しかし、最後のそれは、刀によって命を奪うのではなく、相手を生かす境地です。
そして、「この一刀に帰る」
なんと美しい禅の世界でしょうか。
無外流の物語は、いったんここで完結します。
奥伝のさらに先にある「秘伝」
しかし、無外流の伝承は、万法帰一刀で終わるわけではありません。
免許皆伝の巻物には、内伝五本、奥伝三本のさらに先に、宗家から口伝によって伝えられる秘伝が記されています。
この「秘伝がある」ということは一般の方は知りません。免許皆伝の巻物を拝受しなければわからないからです。
秘伝は五本あります。
免許皆伝を受ける者には、まず五本の名称だけが示されます。
その名称から、自ら一本を選びます。
ただし、その名称がどのような技を意味するのか、どのような形であるのかは、実際に伝授を受けるまで本人は知りません。
免許皆伝者が選んだ一本だけが、宗家から口伝によって伝授されます。
一方、無外流を継承する宗家は、流儀に伝わるすべての形を覚え、次代へ遺さなければなりません。
そのため、宗家継承者には秘伝五本のすべてが伝授されます。
さらに、この五本には伝承された変化があるため、それらを含めると、秘伝は実際には八本となります。
塩川・新名伝 無外流居合兵道(以下、無外流) 第17代宗家・武田鵬玉は、新名玉宗先代宗家から、宗家継承者として秘伝のすべてを伝授されています。
秘伝の名称、動作、理合は公開していません。また、演武や一般の稽古において人に見せることもありません。
見ることができるのは、未来の宗家継承者のみです。
秘伝は、宗家の特権ではない
奥伝の最後にある万法帰一刀は、相手を生かす形です。
長い修行の末に、刀を抜きながらも相手を斬らず、
生きながらえよ
という境地へ至ります。
その先に伝えられる秘伝は、それとは対照的に、瞬時に決着をつける極めて厳しい形です。
なぜ、相手を生かす境地の先に、このような形が伝えられているのか。
第17代宗家・武田鵬玉は、その意味を次のように受け止めています。
「秘伝は、宗家だけに許された特別な技を誇るためのものではない、と理解した。
それは、
いざという時には、この技をもって無外流を守れ。
流儀と門下を守り、その命脈を次代へつなげ。
その覚悟を持つ者として、お前を選ぶ。
という、先代宗家から次代の宗家へ渡され続けてきた、責任の相伝です。
斬り方を学ぶ。
剣を磨く。
しかし、やがて刀を抜かず、相手を生かす段階に至る。
争いを避け、相手を退かせる強さを持つ。
だが、流儀、門下、守るべきものが危機にさらされた時には、宗家は最後の責任から逃げてはならない。
秘伝は、宗家の権威を示すものではありません。
誰にも見せず、競技にも使わず、誇示することもなく、ただ宗家が背負い続けるものだ。
それは技術の継承であると同時に、無外流を守り、正しく次代へ伝えるための、覚悟と責任のバトンなのだと思う。」
一般に稽古する二十本、内伝、奥伝は、単に異なる動作を覚える運動ではありません。「敵によって転化をなすは兵法の定理なり」の教えの通り、敵の動きに応じて一瞬で変化する無外流の考え方が、それぞれの形に残されています。まずは二十本で一本。無外流のおもしろさを感じてください。
鵬玉会では、ただ刀を振るのではなく、実際に斬れる体の使い方、刃筋、間合いまでを稽古します。
約束組太刀(くみたち)

組太刀は、二人が向き合い、あらかじめ定められた攻防を通じて、実際の間合い、体さばき、拍子、攻防の理合を学ぶ稽古です。
一人で行う居合形で学んだ技術を、相手との関係の中で理解する役割を持ちます。
鵬玉会では、居合形の組太刀、剣術形、神道流剣術など、流派に伝えられてきた組太刀を段階的に学びます。
約束組太刀
約束組太刀は、打太刀と仕太刀に分かれ、定められた手順に沿って行う二人一組の形です。打太刀が攻撃を仕掛け、仕太刀がそれに応じることで、流派に伝えられてきた間合い、体さばき、攻防の理合を学びます。
居合形
太刀打之形 北斗/太白/稲妻/霞/流星
脇差之形 切留/突留/受流し/切上/位詰
(脇差之形については、膝が悪い人のために立って行うもの、さらにそれを太刀に持ち替えたものの、それぞれ5種ずつがあります)
剣術形
獅王剣/翻車刀/神明剣/水月感応/玉簾不断
神道流剣術
相寸/相寸逆/鷲/左輪/乳拂/受返/二刀合/擦込
受流/咽中/三受留/突出
自由組太刀®

自由組太刀®は、形と組太刀で学んだ技術を、相手の動きがあらかじめ決められていない自由な攻防の中で検証するために、塩川・新名伝 無外流第17代宗家・武田鵬玉が体系化した武道教育・競技体系です。
自由組太刀®では、防具を着用し、相手の動きが決められていない攻防の中で、居合の間合い、抜刀、体さばき、攻撃と防御を実践します。基本となる「サバキ」一番から七番までを学び、段階に応じて、力を抑えたスパーリングを行います。
そのため、同じ無外流でも自由組太刀®を行うのは鵬玉会だけであり、その技術と指導方法を継続して発展させています。
武道の根幹は強さである。ならば居合の命は組太刀と試し斬りである。
(注)自由組太刀®は国際居合道連盟鵬玉会によって商標登録されています。
試し斬り

鵬玉会では、武道未経験者や初心者に真剣を持たせることはありません。
試し斬りは、刀筋、刃筋、間合い、身体操作が正しく身についているかを確認するための稽古です。
ただし、鵬玉会では、初心者にいきなり真剣を持たせたり、試し斬りをさせたりすることはありません。
まずは模擬刀や稽古用具を使い、安全な所作、刀の扱い方、正しい刀筋と刃筋を身につけます。
指導者が、十分な技術と安全管理能力が身についたと判断した段階で、初めて試し斬りの稽古へ進みます。
試し斬りは、刀を振り回す体験や、力任せに物を斬るものではありません。
形や組太刀で学んだ技術が、実際の刀でも正しく機能するかを検証する、無外流の重要な稽古です。
無外流には、「居合の本義は抜刀の一瞬にあり」という考え方があります。刀を抜いた後に斬るのではなく、抜刀そのものを斬撃とする「抜き即斬」。鵬玉会では、形の初太刀と同じ動きで、抜き打ちの一太刀によって斬ることを重視しています。
稽古では、安全管理のもと、基本となる斬撃から始め、袈裟斬り、横一文字、そして形の初太刀による試し斬りへと段階的に進みます。座技から抜き打ちで斬るなど、技術の難易度に応じて、昇段審査の受審資格も定めています。
塩川・新名伝 無外流では、先代・新名玉宗宗家の指導以来、一晩水につけて巻いた畳表を用いて試し斬りを行っています。
しかし、単に畳表を斬り落とすことが目的ではありません。形と同じ姿勢、間合い、抜刀、刃筋で斬れて初めて、日頃の稽古が正しかったかどうかを確認できます。
その居合は本当か。それを実践してみよう。
試し斬り最高難度「置き藁」
座技・抜き打ち横一文字、無外流の形「水月」の初太刀で行う、俗にいう「置き藁」です。
杭に刺して固定せず、ただ置いただけの畳表を、抜き打ちの一太刀で斬ります。標的が固定されていないため、正確な刃筋、速度、姿勢がそろわなければ、畳表は倒れるだけで斬れません。
これは、鵬玉会の試し斬りにおいて最も難易度の高い技です。
禅

無外流は、流祖・辻月丹資茂が剣の修行と禅の修行を重ねる中から生まれました。
辻月丹は、麻布・吸江寺の石潭良全禅師に参禅し、次の偈を授けられました。
一法実無外
乾坤得一貞
吹毛方納密
動着則光清
「無外流」の名は、この「一法実無外」に由来します。無外流にとって、禅は後から加えられたものではなく、流派の成立から深く結びついているものです。
花園大学学長を務め、直心影流の師範でもあった故・大森曹玄老師は、次のように語っています。
禅と自流の関係を語る剣客は多い。しかし、「我が剣は禅なり」と言い切ったのは、無外流の流祖・辻月丹だけである。
大森曹玄老師は、故・塩川寶祥宗家から無外流を学びました。
鵬玉会では、形、組太刀、試し斬りといった技術だけでなく、無外流の背景にある禅の思想も学びます。通常の稽古では、稽古の初めにその日のテーマを設け、短時間の坐禅を行います。
また、臨済宗妙心寺派で、武田信玄公の菩提寺である山梨県・乾徳山恵林寺において坐禅合宿を行い、古川周賢老大師から直接指導を受けています。
鵬玉会の禅は、特定の宗教への入信を求めるものではありません。坐禅と座学を通じて自分自身と向き合い、呼吸、姿勢、集中力、心の動きを見つめ、それを日々の稽古と生活に生かすための学びです。
護身術
鵬玉会の内弟子は、無外流の形や組太刀で身につけた間合い、体さばき、姿勢、相手の攻撃線から外れる動きを、護身術として応用する稽古も行います。
護身術の目的は、相手と戦って勝つことではありません。危険を早く察知し、相手との距離を取り、攻撃を避け、自分や周囲の人を守って安全にその場を離れることです。
稽古では、相手につかまれた場合や、短刀などを持った相手を想定した場合について、安全に配慮しながら二人一組で学びます。
無外流と関係のない護身術を別に覚えるのではありません。形、約束組太刀、自由組太刀®で学んだ動きが、刀を持たない状況でもどのように応用できるのかを実践します。
護身術は、鵬玉会の内弟子が学ぶ稽古内容の一つです。


