わが師 新名玉宗と
前書き
私は1976年に極真空手に足を踏み入れた。
当時は「ケンカ空手」と呼ばれたころで、子どもなんていなかったから、13歳の私は稽古が怖くて仕方なかった。それでも歯をくいしばり、がんばり、続けていった。
だから私の武道歴は50年に及ぶ。
ほかにももっと賢い道はあっただろうに、続けてしまった。
これだけ続けてここに至れば、何を言われても「黙れ、はなたれ小僧」と言う資格はあるのではないかと思う。
2005年、無外流へ入門した。翌2006年、新名玉宗宗家から「俺のところに来い」と呼ばれ、直接・個人指導を受け始めた。その時点で、私にはすでに約30年の武道歴があった。
後年、「なぜ私を『俺のところに来い』とおっしゃったんですか」と尋ねたことがある。ご
宗家は、こう答えられた。
「武田さんを教えられるのは、俺だけだろ?」
それから約20年。私は形や組太刀、試し斬り、巻物に記された教え、流祖・辻月丹の思想、そして一般には公にできないものまで、ご宗家から直接学んできた。
2017年には「免許」を授けられ、2026年7月4日、横浜武道館において、新名宗家から無外流居合兵道の免許皆伝を直接授与された。同時に「宗家」を名乗ることを許され、塩川・新名伝 無外流第17代宗家を継承した。
本稿は、その師と過ごした約20年の記録である。
稽古でいただいた言葉、何げない会話、叱責、笑い、そして私だけが見てきた師の姿を、記憶の中から書き残していきたい。
これは、新名玉宗という武人の記録であると同時に、師から弟子へと何が伝えられたのかを記す、私たち師弟の物語でもある。
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