次の時代へ
塩川・新名伝 無外流 第17代宗家 武田鵬玉

2026年7月4日、横浜武道館。
新名玉宗宗家から武田鵬玉へ免許皆伝が授与され、塩川・新名伝 無外流居合兵道 第17代宗家の継承が行われました。
京都・くろ谷 金戒光明寺への西の奉告。
世界遺産 日光東照宮への東の奉告。
受け継いだことを歴史に報告し、先人に礼を尽くす。
しかし、それで宗家継承が完成するわけではありません。
宗家継承は、終着点ではない。
第17代宗家の時代は、ここから始まります。

宗家継承は、始まりだった
宗家を継承するとは、名前や称号を受け継ぐことではありません。
受け継いだ技を守る。
流儀の思想を守る。
巻物と口伝を正しく伝える。
一門を率いる。
そして、次の世代へ渡す。
そのすべてに責任を負うことです。
2026年7月4日は、約20年にわたる師弟の時間が一つの節目を迎えた日でした。
同時に、武田鵬玉が第17代宗家として、その責任を引き受けた最初の日でもありました。
免許皆伝は、完成ではありません。
宗家継承もまた、完成ではありません。
新しい修行の始まりです。

第17代宗家の責任
第17代宗家・武田鵬玉が担う責任は、三つあります。
守ること。
磨くこと。
そして、渡すこと。
受け継いだものを変質させずに守る。
ただ保存するのではなく、現代においても働く技として磨き続ける。
そして、その技と思想を、次の時代を担う者へ渡す。
この三つを止めないことが、宗家の責任です。
守る――塩川・新名伝 無外流
武田鵬玉が継承したのは、無外流全体を統括するという意味での宗家位ではありません。
塩川寶祥照成から新名玉宗豊明へ。
そして、新名玉宗から武田鵬玉へ。
師から弟子へ直接伝えられてきた、
「塩川・新名伝 無外流居合兵道」
です。
居合形。
内伝。
奥伝。
秘伝。
約束組太刀。
試し斬り。
巻物に記された教え。
そして、公には記されていない口伝。
技の形だけではありません。
なぜその技を行うのか。
どの間合いで成立するのか。
何をもって正しいとするのか。
その理合と思想を含めて、次代へ伝えます。
守るべきものは、変えない。
曖昧にしない。
失わせない。
第17代宗家の時代においても、塩川・新名伝 無外流の核は変わりません。
磨く――四位一体の術と禅
伝統を守ることは、技を動かさずに保存することではありません。
技は、稽古によって磨かれ続けなければなりません。
鵬玉会で学ぶ無外流は、
居合形。
約束組太刀。
自由組太刀®。
試し斬り。
この四つを一体として修める「四位一体の術」です。
形で技を学ぶ。
約束組太刀で、相手との間合い、攻防、理合を学ぶ。
試し斬りで、刃筋と身体の使い方を確かめる。
そして、武田鵬玉が創始し、鵬玉会として磨いてきた自由組太刀®で、相手の動きが決められていない状況においても、学んだ無外流が働くかを検証する。
そして、その根底に禅があります。
形だけでもない。
斬るだけでもない。
戦うだけでもない。
技を通じて、自分自身と向き合う。
形・約束組太刀・自由組太刀®・試し斬り。
そして禅。
このすべてを通して、無外流の技と思想を磨き続けます。
武道の根幹は、強さである
第17代宗家・武田鵬玉は、武道について、こう考えています。
「武道の根幹は、強さである。ならば、居合の命は組太刀と試し斬りだ。」
ならば、学んだ技は、本当に働かなければなりません。
美しい形を演じるだけではない。
約束された動きだけに対応するのでもない。
刃筋が本当に通るのか。
相手をさばき、動きをとらえ、理合を実証できるのか。
圧力の中でも、平常心を失わずに立てるのか。
なにもかも、本当はやってみなければわからない。
やらせないとしたら、何もかもを白日の下にさらされるのをおそれているのだ、使って初めて分かるものを、再び形へ戻そうじゃないか。
だから、形が生きる。
だから、約350年前に生まれた技が、現代においても命を持ち続けます。
「斬れる居合」
それは、試し斬りだけを意味する言葉ではありません。
形、間合い、理合、身体、精神。
そのすべてが一致したときに生まれる、生きた居合です。
『無外真伝剣法訣』の序文において、流祖・辻月丹は、自らが残した言葉を解き明かす者の出現を待ち、その問いを後世の弟子へ託しました。
第17代宗家となった武田鵬玉は、その問いに答える者として、いま自らがここに立っているのだと受け止めています。
「流祖が後世へ託した問いに、いま答える者が必要なら、立つ覚悟を持とう。逃れることのできない天命として引き受けよう。そして、第17代宗家として、答えを次代に残そう。」。
伝統を止めない
自由組太刀®は、伝統から離れるために生まれたものではありません。
受け継いだ技が、実際の攻防の中でも働くのか。
本当は何を伝えたかったものなのか。
それを検証し、再び伝統の形へ戻すために体系化されました。
伝統を守るために、伝統を眠らせない。
受け継いだ技を、現代においても使える技として問い続ける。
変えてはならない核を守りながら、稽古と伝承の方法は進化させていく。
それが、第17代宗家の時代における無外流です。
宗家直伝を、全国と世界へ
かつて、宗家から直接学ぶことができる者は、限られていました。
住む場所。
仕事。
家庭。
距離。
さまざまな条件によって、学びたくても学べない者がいました。
第17代宗家の時代では、全国の道場とオンライン指導を結び、国内外を問わず、宗家直伝の無外流を学ぶことのできる道を整えていきます。
日本にいても。
海外にいても。
道場のある地域でも。
近くに道場がない地域でも。
学ぶ意志のある者が、宗家と一門につながることができる。
場所によって伝承を分断しない。
一つの技。
一つの基準。
一つの一門として、無外流を次の時代へ広げていきます。
次世代が立つ
伝承は、宗家一人では完成しません。
宗家から高弟へ。
高弟から指導者へ。
指導者から門人へ。
そして、次の世代へ。
日光東照宮の奉納演武では、第17代宗家、高弟、そして次世代を担う若者たちが、ともに五重塔前へ立ちます。
受け継いだ者の後ろに、次に受け継ぐ者がいる。
その姿がなければ、伝承とは呼べません。
若い者が育つ。
高弟が育つ。
指導者が育つ。
各地の道場が育つ。
そして、その中から、次の時代を背負う者が現れる。
第17代宗家の時代は、次世代を育てる時代でもあります。
大鵬玉会時代へ
国際居合道連盟鵬玉会は、塩川・新名伝 無外流第17代宗家が率いる、最大単一の全国組織です。
しかし、現在の規模が到達点ではありません。
目指すのは、千人の一門です。
それは、単に会員数を増やすということではありません。
千人が無外流を知る。
千人が刀を通して自分と向き合う。
千人が同じ技と基準を学ぶ。
その中から、高弟、指導者、選手、そして次代を担う者が育っていく。
頂点には、神話を生み出すほどの技と強さを持つ者がいる。
その光に憧れながら、それぞれの目的で修行を続ける多くの門人がいる。
強い頂点と、広く大きな一門。
その両方があって、初めて大きな時代が生まれます。
第17代宗家の継承を起点として、鵬玉会は「大鵬玉会時代」へ進みます。
無外流の基準となる一門へ
目指すのは、数ある居合団体の一つではありません。
技術。
指導。
組織。
大会。
次世代育成。
国内外への伝承。
そのすべてにおいて、無外流の基準となる一門です。
宗家がいる。
全国に道場がある。
ともに稽古する仲間がいる。
形・自由組太刀®・試し斬りという、挑戦すべき三つの全日本大会がある。
そして、約350年受け継がれてきた技と思想がある。
守るべきものを守る。
強さから逃げない。
次代へ渡す責任を忘れない。
塩川・新名伝 無外流の保守本流として、進むべき道を進みます。
第17代宗家 武田鵬玉の言葉
私が受け継いだのは、称号ではありません。
技と思想。
巻物と口伝。
そして、それらを次の時代へ渡す責任です。
守るだけでは、技は死ぬ。
変えるだけでは、伝統は失われる。
変えてはならないものを守りながら、現代においても働く技として磨き続ける。
弟子を育てる。
内弟子を導き、指導者を育てる。
一門を育てる。
そして、次の宗家が立つことのできる地平まで、この流儀を前へ進める。
それが、第17代宗家としての私の仕事です。
宗家継承は終わりではありません。
すべては、ここから始まるのだ、そう覚悟を決めます。
塩川・新名伝 無外流居合兵道
第17代宗家 武田鵬玉
これから書かれていく公式記録
第17代宗家の時代は、始まったばかりです。
このページは、完成した過去を記録するだけのページではありません。
これから生まれる高弟、それは明日の入門者かもしれません。
新しい指導者、それは今昇級審査に悩んでいるあなたかもしれません。
次世代の成長。
全国と世界に広がる一門。
新たな挑戦と、その結果。
第17代宗家の時代に起こる出来事を、ここに記録し続けます。
後世の者が振り返ったとき、
2026年7月4日から何が始まり、無外流がどこへ向かったのか。
その歩みが分かるように。
第17代宗家の時代は、すでに始まっています。
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世界遺産 日光東照宮
第17代宗家、高弟、そして次世代が五重塔前に立つ、宗家継承奉告・奉納演武を記録します。


