セミを飛ばすのよー!|安村凰玉が語る マドンナの鵬玉会【第五回】

セミを飛ばすのよー!

安村凰玉が語る

マドンナの鵬玉会【第五回】

居合に憧れながらも、「これは自分には縁がない。だって女性だし、もう始めるのには遅いだろう」と思い込んでいた一人の女性がいた。

望んでいたのは、道場の隅で邪魔にならないように刀を振ることだけ。大会も、昇段も、人前での演武も考えていなかった。

その女性は後に、国際居合道連盟 鵬玉会副長、錬士七段・安村凰玉となるのです。

安村凰玉は、なぜ鵬玉会を選び、武田鵬玉の居合を追い始めたのか。

その過激におもしろい第五回のはじまりです。

ゲスト|安村凰玉

インタビュー|田中知博 副長補佐

構成・編集|鵬玉会編集部

安村凰玉
田中知博

登場人物

安村凰玉(やすむら おうぎょく)

国際居合道連盟 鵬玉会副長。錬士七段。鵬玉会草創期に入門し、武田鵬玉の居合を追い続けてきた女性剣士。鵬玉会初の六段となり、2026年7月4日、横浜武道館において錬士七段を允許され、昇段した。武道専門誌『月刊秘伝』の「女性武道家名鑑」に、女性の居合道家として初めて掲載。NBCのオリンピック特別番組、パナソニックの映像作品への出演など、国内外のメディア出演も多数。

田中知博(たなか ともひろ)

国際居合道連盟 鵬玉会副長補佐。塩川・新名伝 無外流第17代宗家・武田鵬玉の内弟子。宗家のそばで無外流の技と思想を学びながら、鵬玉会の指導と組織運営を支える。オンラインチーム MUGAI Broadcasting を率い、国内外をつなぐ鵬玉会のオンライン部門を牽引する。本連載では、安村凰玉の大貫禄におびえながら、ときどき命知らずな質問を投げかける聞き手を務める。

刃筋ができていなかった

田中知博副長補佐(以下タナカ); 窓に映して初めて、「刃筋ができてない!」と気づいたんですか?

安村凰玉副長(以下副長); 今なら、「そんなことにも気づかなかったの?」と思うけど、最初は分からないじゃない。

それに、道場ではそれくらい切羽詰まっていたんだと思うよ。

タナカ; 副長のそんな姿をイメージすると、おかしいですね。みんな一緒だ。

副長; 会長のおっしゃることを聞く。

周りについていく。

自分の番が来る。

抜かなきゃ。

右手が動く。

引っかかる。

鞘、ガザ!

「イヤー!」

タナカ; (笑)。

副長; 私、

「ごめん、ごめん!」

もう、それどころじゃない(笑)。

タナカ; 家なら、ペースを合わせなきゃと思う人もいませんもんね。

副長; 一つの動きごとに止めて、何度でも見ることができるからね。

録画するということ

タナカ; 何度も言いますが、自分の稽古を録画しておけばよかったのに。

副長; 私は「稽古を録画する」というのが嫌いなの。
指導されている稽古を録画しても、大体見ない。
だから、稽古を録画する人で、うまくなった人ってほとんどいないと思う。
そもそも指導されているのに、「あとでわからなかったところを見直します」って、・・・失礼じゃない?

タナカ; あー!言われてみれば確かに!

副長; 指導されているときに、真剣に「今この瞬間」に集中しなさい、ってこと。
録画した動画をためこむのは、参考書を買い込んで積み上げて安心しているのと同じなのよ。

タナカ; なんかスッキリしました。
今度から「録画していいですか?」と言われたら「ダメです。今に集中してください」と言います。