できないものを、一つずつできるものに|安村凰玉が語る「マドンナの鵬玉会」第八回

できないものを、一つずつできるものに

安村凰玉が語る

マドンナの鵬玉会【第八回】

居合に憧れながらも、

「これは自分には縁がない。だって女性だし、もう始めるのには遅いだろう」

と思い込んでいた一人の女性がいた。

望んでいたのは、道場の隅で邪魔にならないように刀を振ることだけ。大会も、昇段も、人前での演武も考えていなかった。

その女性は後に、国際居合道連盟 鵬玉会副長、錬士七段・安村凰玉となるのです。

安村凰玉は、なぜ鵬玉会を選び、武田鵬玉の居合を追い始めたのか。

その過激におもしろい第八回のはじまりです。

ゲスト|安村凰玉
インタビュー|田中知博 副長補佐
構成・編集|鵬玉会編集部

安村凰玉
田中知博

登場人物

安村凰玉(やすむら おうぎょく)

国際居合道連盟 鵬玉会副長。錬士七段。鵬玉会草創期に入門し、武田鵬玉の居合を追い続けてきた女性剣士。鵬玉会初の六段となり、2026年7月4日、横浜武道館において錬士七段を允許され、昇段した。

武道専門誌『月刊秘伝』の「女子武道家名鑑」に、女性の居合道家として初めて掲載。NBCのオリンピック特別番組、パナソニックの映像作品への出演など、国内外のメディア出演も多数。

田中知博(たなか ともひろ)

国際居合道連盟 鵬玉会副長補佐。塩川・新名伝 無外流第17代宗家・武田鵬玉の内弟子。宗家のそばで無外流の技と思想を学びながら、鵬玉会の指導と組織運営を支える。

オンラインチーム MUGAI Broadcasting を率い、国内外をつなぐ鵬玉会のオンライン部門を牽引する。本連載では、安村凰玉の大貫禄におびえながら、ときどき命知らずな質問を投げかける聞き手を務める。

稽古のない日にも、場所を借りた

安村凰玉副長(以下、副長); この頃から、稽古がない日にも、自分で場所を借りたのよ。

田中知博副長補佐(以下、タナカ); 自主稽古ですね?

自分も今日、宗家のプライベートレッスンを受けて、その後、道場を借りて稽古しました!

自分で稽古して、道場稽古でチェックしてもらう、ですよね。

副長; できなかったものは、持ち帰る。

一人になって、もう一度やってみる。

見て、考える。

タナカ; そこは案外、重要だと思います。

そもそも、

「あ、ここが違っている」

と分かるためにも、考えることが必要です。

副長; そうね。

なぜできないのかを探すのも、一つの能力。

会長から教えていただいた言葉を、自分の身体が理解できるところまで、何度でも試す。

後方斜め上が分からなければ、エアコンを突く。

切先を飛ばす感覚が分からなければ、セミを飛ばす。

生木を裂く感覚が分からなければ、割り箸を割る。

今振り返れば、ずいぶん妙なことをやっています。