無外真伝剣法訣 2

外流とはindex
無外流の歴史
1)流祖辻月丹
2)無外流の伝播
3)中興の祖 そして未来へ
4)流祖から鵬玉会までの流れ

無外流を考える
1) 無外流の特色
2) 無外真伝剣法訣 2
3) 無外真伝剣法訣 3
百足伝

無外真伝剣法訣 3
三 玄夜刀
暗裡文彩を施す
明中跡を見ず 
  隠るるよりあらわるるはなし 
  微なるにあらわるるはなし 
  隠陽測せず、これを神という

四 神妙剣
端末いまだあらわれず、人よく知ることなし
天地神明は物に応じて運照らす
変動常なく敵によって転化す
事(ワザ)の先をなさず、動いてすなわち随う

五 虎乱入
形裡の注目は、象外の注神にしかず
面拳頭にあり、これを形裡という
無敵無我これを象外という
  無我の域虎質もあたるなし

六 水月感応
氷壺に影像なし
猿候水月をとらう

大森曹玄老師の一言 3
 氷壺は心の清いことの形容だから、この後は透きとおって影のない無心の状態をいったものであろう。こういうものには、猿が水中の月を捉えようとするのと同じく、全く処置なしである。いかなる相手も手の下しようもあるまい。しかしまた、そういう心境であってこそ、水の月を移すように、相手の動きはそのままに感応するわけであろう。

無外真伝剣法訣 4
七 玉簾不断
牛頭は没し
馬頭はかえる
前波後波相続いて絶えず
忽ち没し 忽ちかえる
心心不二
  此の中に三機あり
  窮 変 通

大森曹玄老師の一言 4
 「牛頭没し、馬頭還る」「前波後波、相続して絶えず、忽ち没し忽ち回る。心心不二」とある。玉簾とは滝のことである。牛頭、馬頭は男波女波のこと。つまり、滝は一滴一滴の水玉が次から次へと無数に連続して流れているのであるが、それがたった一本の線のように見える。われわれの心もそのように「念起念滅、禅語別なし」で、男波女波の寄せては返すように「忽ち没し、忽ち回」りつつ、畢竟「心心不二」なのである。いわゆる地限り(ちぎり)、場限りで、端的只今の無限連続以外のものではない。只今を最高に充実して生きることが、時間を超えて永遠を生きる所以なのである。剣の妙諦は「玉簾不断」に尽きるといってもよい。

無外真伝剣法訣 5

八 鳥王剣
正令まさに行ずるに当たっては十万座談
金翅鳥王は、まさに宇宙にあたる
筒中誰か是れ出頭の人

九 無相剣
陰の先なる、これを暗頭来という
陽の先なる、これを明頭来という
  明頭は見やすく
  暗頭は察しがたし

十 万法帰一刀
問うていう、万法一に帰す、一は何処に帰するか
答えていう、我れ青州にありし時一領の布きんを作れり、重きこと七斤
  更に散ぜよ三十年
  ○

大森曹玄老師の一言 5

 一番ふるっているのは、最後のしめくくりである。それは「万法帰一刀」と呼ぶ。それに着けた語が、なんと「碧巌録』第四十五則の公案そのままである。すなわち、問うていう、万法一に帰す、一は何処に帰するか
 答えていう、我れ青州にありし時一領の布きんを作れり、重きこと七斤とある。ただ「曹、趙州(じょうしゅう)に問う」とか「州云く」という固有名詞が省かれているだけである。
 万法、つまりすべての存在は結局のところ、一に帰に帰着する。キリスト教でいえば、神に帰着する。
 科学的にいえば、エネルギーに帰するといってもよい。禅は無の一字に帰するといってもよいであろう。一刀流では万刀一刀の帰すといっている。それはわかる。ではその一は、いったいどこに帰すのであろうか。こう問いつめられた趙州が、
「わしが青州にいたときに、一着のころもを作ったが、ナンと重さ七斤じゃったよ」と答えたのである。
 万刀は一刀に帰し、その一刀はまた万刀と展開すr7、ということであろうか。一即多、多即一ということなのだろうか。その一多相即不二の消息をハッキリ承知し、体得し、自由に用いこなすことだろうか。
 無外流伝書には、万法帰一刀の公案を記したあとで、行を変えて
「更に散ぜよ三十年」
と書き、その次に大きく一円相を描いている。まことに意味深長であり、無外その人の禅心の深さを示すもののようである。

碧巌録(へきがんろく)
 中国の仏教書。別名に仏果圜悟禅師碧巌録。碧巌集とも呼ばれる。特に臨済宗において尊重される、代表的な公案集。全10巻。

短剣法訣
  就中三あり
  三また各三
出身 出身は水の科にみつるが如し
応機 応機は鏡の台にあたるが如し
転身 転身は環の端なきが如し
  己上剣法十訣並短剣法

無外子勤録
 右無外真伝の剣法は禅裡を以て教導致す処、貴殿禅学御了知の上当流の剣法御懇望且つ御篤志につき、拙者先師より相伝の奥秘、此の度授与致し処、御秘蔵あるべきものなり

大森曹玄老師の一言 6
 個人無外が一流の奥秘を極め、師の印可を得て一たん教場を開いたのち、更に尚是未在と気づいて再行脚し、苦修二十年にして「一法実に外無し」と悟入した端的は果たしてなんであったろうか。かれが末期、坐定して入寂するまで一生愛用したその吹毛剣は、上に上ありと伊東一刀斎の詠じたように一生受容不尽底のものであったろう。十訣を撰し、その末尾に「更参三十年」と記し、一円相を画したとき、かれは謙虚にその自己の心境を吐露したのではなかったろうか。

武道の聖地、京都の武徳殿も鵬玉会の活動に門を開いてくださった。明治天皇の玉座を前に、無外流の最も重要な五文字「一法実無外」を揮毫するウィリアム・リード山梨支部長。山梨学院大学iCLA教授、全日本教育書道協会副会長でもある。

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