オープントーナメント「第7回全日本居合道 自由組太刀 選手権大会」総評

過去最高の出場選手の激戦!
100人組太刀を達成した3名の内弟子が入賞!

第7回目の頂点を制したのは、川尻龍次!

オープントーナメント「第7回全日本居合道 自由組太刀 選手権大会」。
残念ながら他流派・無外流他会派の参加はありませんでした。 やったことがない「実戦」は、誰もが恐ろしい。 今まで作った名前も肩書も一瞬で失うかもしれませんから。

しかし、一門からはのべ94名の出場選手を得ました。
挑戦しよう、とあのコートにあがってきた彼らは、恐怖に打ち勝ったという点ですでに勝者です。 彼らがその各部で戦いました。 その中で最も激戦だったのが「一般男子」です。

今年からは「ベスト8以上はフェイスガードをとる」と決めた通り、メットをとった彼らの顔、声援、決勝のときの場内のどよめきは誰もが感動したのではないでしょうか。


ベスト8に立てなかったが、ある選手がそれを真摯に見つめた感想を送ってきてくれました。 その一部をご紹介しましょう。

出場選手の感想

「殲滅隊の方々の活躍、実力ともに目を見張るものでした。 抜き打ちの早さ、沢山の攻め方、仕掛け方、相手の攻撃の見切りなど、圧巻でした。 特に決勝戦の雰囲気、盛り上がりは見ているこちらの感情が揺さぶられました。 映画や漫画のような創作物でしか見たことがない、命のやり取りのような雰囲気、積み重ねてきたものを昇華しぶつけ合う、そんな試合だったと思います。 私も見事に川尻場所長に殲滅されましたが、向き合っただけで重みを感じました。
威圧でもなく、俺は優勝するからどいてくれという意思、優勝することを決めた意思を感じました。
これが命のやり取りだったなら、なぜ自分は稽古量でも全く及びもしないのにこの場に立ったのだろう、挑んだのだろうと深く後悔しながら一突きで死んでいたでしょう。 自分自身の弱さを鮮明に認識させられる試合でした。
こういったことを感じ、体験できるのは実際に相対する自由組太刀だけであり、だからこそ自由組太刀の稽古が居合には必要なのだと、実感した大会でした。」


いかがでしょうか。 「俺は優勝するからどいてくれという意思、優勝することを決めた意思」 そこにいたるまでの稽古は並大抵のものではありませんでした。
当日いきなりいらっしゃった、極真空手のレジェンドで大古参幹部の浜井識安先生、プロレスラー宮本和志先生がYouTubeでも「達人だ」と川尻君を絶賛していらしたのには、納得できる理由があるのです。

まるで洗濯物をそのまま着ているような、頭から水をかぶったような極限を超える稽古が居合に存在するなど、普通は思いもよりません。 それが鵬玉会にはある。
「武道の根幹が強さなら、居合の命は組太刀と試し斬りだ。」 その理念にブレはありません。
もちろん、美しい形だけを追求することもできますが、鵬玉会には実戦のメソッドがあり、目指している多くがいる。 だからこそ、鵬玉会の居合は武道居合なのです。
さて、各部の入賞者は以下の通りです。 もう浜町でやるには限界があります。 来年からはアリーナがある大会場に移る予定です。 備えましょう。

各部入賞者

リトルジュニアクラス(5歳~小学校3年生)

優勝 栗田圭路郎(東京都)
準優勝 ホッセン瑠伴(千葉県)
3位 北野右京(東京都)


ジュニアクラス(~小学校6年生)


優勝 大谷志貴(長野県)(大会実行委員長賞
準優勝 中村俊士(東京都)
3位 川本知典(千葉県)


ユースクラス(アンダー18)


優勝 大越妃依(千葉県)
準優勝 小川凰帝(東京都)


新人戦(初めて公式の自由組太刀の試合に出場する選手対象)


優勝 西川暁(岐阜県)(理事会賞
準優勝 中村仁(東京都)
3位 バギンズジョーンズ海斗(東京都)


マスターズ


優勝 長村康一(東京都)
準優勝 上田徹(神奈川県)
3位 森井紀明(東京都)


一般女子


優勝 江川裕子(大阪府)(会長 武田鵬玉賞
準優勝 大越妃依(千葉県)
3位 義墳江里(栃木県)


一般男子


優勝 川尻龍次(東京都)(宗家 新名玉宗賞
準優勝 箕輪憲人(神奈川県)
3位 麻生尚冶(東京都)

【トピック】

(1) 新名宗家来場、武田鵬玉会長 八段允許

無外流明思派 新名玉宗宗家がご来場。
鵬玉会 武田鵬玉会長の師である。会場に居並ぶのは、国際居合道連盟鵬玉会の全国の支部長、場所長、そして大会に挑戦する剣士たち。
そこで、無外流八段の允許状(6月1日付け)が授与された。
ここにそのことを記録しておきたい。

【ご宗家からの言葉】
「みんな今日ケガしないようにしてください。
(鵬玉会の規模は)立派なものです。東京・大阪・福岡に常設道場を持ってるのは、鵬玉会だけです。だから皆さん、誇りに思って日本中だけでなく世界を席捲してほしいと思います。
私はもう75ですから私の時代はもう過ぎました。
後は武田さんの時代、そして皆さんの時代です。これから大いに羽ばたいてください。よろしくお願いします。」

なお、以下は新名宗家が、段位をたとえたものである。

******
初段 屋敷の「門」の前に辿り着いた処
弐段 門番に頼み込んで「門」の中に入れてもらった処
参段 門から屋敷の玄関まで歩いている処で、玄関までかなり遠く奥行きがあり、相当広い庭のある屋敷だなぁと感じている処
四段 やっと玄関に辿り着いた処
五段 建物内に声をかけ、玄関詰めの使用人を呼び建物内に入れてくれるようお願いしている処 【奥入書】
六段 なんとか建物内に入れてくれ、部屋に案内されている処
七段 部屋に通され、お茶が出た処 【免許】
八段 屋敷の主人が出てきて、話をし始めた処 【免許皆伝】
九段 屋敷の主人に認可され、屋敷内の道場で門人たちと稽古をしている処
十段 屋敷の主人に指導してもらっている処

(2) 極真空手のレジェンドにして、大古参「浜井識安」先生来場!

気づいたら会場入り口横にちょこんと座っていらしたのが、極真空手の極真会館で、草創期から支えてこられたレジェンド浜井識安先生。いらっしゃる、と知らなかった武田会長は慌てて来賓席にご案内。出場する剣士たちにお言葉をいただいた。

(3) プロレスラー宮本和志先生 来場!

有名なプロレスラー、宮本和志先生も来場。

(4) 神田藤古堂(とうこどう)

真剣がズラリ。

夜は全国の支部長、場所長、剣士、保護者のみなさん、ジュニアクラスの子たちと「東京のブルックリン」と呼ばれる「ルーフトップバー プリバード」で「会長の八段允許・会長の還暦・鵬玉会の10周年記念」を祝うパーティが催されました。
昼の激戦とうってかわった、笑顔にあふれた夜でした。

“オープントーナメント「第7回全日本居合道 自由組太刀 選手権大会」総評” への2件の返信

  1. 大会お疲れ様でした。関係者の皆様誠にありがとうございました。
    勝負の時は視野が狭くなりがちですが、一歩引いてみるとどれだけ多くの方のおかげで大会が成り立っているのか、と思います。
    「自由組太刀」を作ってくださった会長はもちろんのこと、審判、実行委員の方々、会場を使わせてくれた中央区、私の居合の稽古を後押ししてくれる家族、対戦相手、その対戦相手の稽古を支えてくれる人たち・・
    楽しい楽しい組太刀の大会ですが、今後も感謝を忘れずに励んでいきたいと思います。
    私は百足のマークを背負いながらも初戦敗退だったので試合の映像を見るのも嫌でしたが、それこそ武士らしくないと思い、結果をまっすぐ受け止めてまた歩んでいくために感想を送ります。
    私の好きな禅問答があるのですが、つまるところ「現実に影響されずにすべきことをしろ」といったメッセージです。大会に挑戦して結果が良くても悪くても、次の日からはまた何も変わらず粛々と最大限の稽古するつもりでおりましたが、良い結果が出なかったので稽古量を増やすことにしました。もし結果が良ければこうはしなかったでしょう。
    自身の技術も精神もまだまだだと教えられた1日でした。今後もいっそう稽古に励んで参ります。

  2. 感想文を読んで臨場感を味わいながら自分の稽古を振り返りました。今年からマススパで自由組立の稽古に参加するようになりましたが、形の稽古と違って正に実戦を想定した稽古ですが、間合いに入ってもなかなか抜刀が出来ず最初は支部長が刀を抜かせないのか抜かないのか分かりませんでした。浅田次郎、藤沢周平の本や五輪書を読んで手数が多ければ有利だと知り、ただ攻めの姿勢で稽古してます。待ちの姿勢の形で戦えるかと理屈をこねると、支部長から玉光で見事に仕留められました。こんなに面白いとは思いませんでした。これからも精進してまいります。よろしくお願いいたします。

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