京都武徳殿 「第8回全日本居合道 形 選手権大会」終了 無外流最年少師範の栗木六鳳選手が三連覇達成

栗木六鳳選手(錬士六段;長野)

1月27日(土)に明治天皇の玉座がある、武道の殿堂の京都武徳殿で「新選組 箱館戦争155第1段 能登半島大地震チャリティ 京都武徳殿 第8回全日本居合道 形 選手権大会」が、国際居合道連盟鵬玉会の主催で開催されました。340年の歴史を誇る無外流の剣士が全国から集まり、その剣技で激突。四段以上の部で、無外流居合最年少の師範である、栗木六鳳選手(長野)が三連覇を達成しました。

1月27日(土)に明治天皇の玉座がある、武道の殿堂の京都武徳殿で「新選組 箱館戦争155第1段 能登半島大地震チャリティ 京都武徳殿 第8回全日本居合道 形 選手権大会」が、国際居合道連盟鵬玉会の主催で開催されました。

後援は京都市、京都市教育委員会、京都青年会議所、名誉大会実行委員長に門川大作京都市長をお迎えするという、一年の初めを寿ぐ居合の一大祭典です。

特に本年は、鵬玉会の無外流の先達である、三番隊 斎藤一隊長がいた新選組が、その最後を迎えた箱館戦争終結155年という節目です。新選組が京で活躍し、戊辰戦争とともに江戸に戻り、やがて東北から箱館五稜郭でその最後の戦いを迎えた足跡をたどるように、冬の京都での「形」、夏の東京での「自由組太刀」、秋の箱館五稜郭での「試し斬り」の大会を迎えます。これを「新選組 箱館戦争155」というキーワードの特別な年だとします。

能登半島大地震チャリティ 京都武徳殿 第8回全日本居合道 形 選手権大会

その歴史を顕彰する第1段として、高級な縮緬風生地をウィリアムリード教育書道協会副会長による「誠」の金文字を染め抜いた「旗デザイン」の風呂敷をが引き出物とされました。

新選組が、京都くろ谷金戒光明寺で京都守護職であった会津松平容保公のお預かりとなったことにならい、京都くろ谷金戒光明寺の橋本周現執事長が開会のお言葉を一門に授与。

浄土宗大本山 京都くろ谷金戒光明寺 橋本周現執事長。
約160年前、京都守護職として会津松平容保公は1000人の兵と共に駐留された。
近藤勇をはじめとする後の新選組幹部の面々は、こちらを頼り、会津お預かりの新選組となった。
現在のトップが橋本執事長である。

また、京都会津会の方が観覧に来られたことも特筆です。

歴史を顕彰する意味では、新選組と鵬玉会が155年のときを隔ててつながった、本物になったというような空気が武徳殿という国の重要文化財を満たしたようでした。

また、京都市観光協会が、ホテルに置かれる京都観光の案内フライヤーのトップにこの大会を紹介してくださったため、アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、トルコ、シンガポール、マレーシア、台湾など多くの外国人が詰めかけました。

海外からのお客様が大勢いらしたのが今年の特長の一つ。

全日本大会は、例年通り技術指導委員の安村凰玉師範(錬士六段)、栗木六鳳師範(錬士六段)による四方祓いとともに開会。

四方祓い 安村凰玉師範(錬士六段 技術指導委員長)

武田鵬玉師範・国際居合道連盟鵬玉会会長(教士八段免許)による模範演武は、大会出場選手と同じ条件で行われ、会場の空気が一変しました。

試合は、未就学児童~小学3年生のリトルジュニア、~小学6年生のジュニア、アンダー18の中・高校生によるユース、無級・級、初・弐段、参段、四段以上の一般7クラスで行われました。

特にリトルジュニアの審判はジュニア最年長の6年生によって、またジュニアの審判はユースによって行われました。
審判をすることで、責任を負うことを知り、それを通じて成長する機会になります。

▼リトルジュニア 決勝戦
〇栗田圭路郎(東京総本部)
×九郎丸穰(福岡)

優勝した栗田圭路郎くん(東京総本部)幼いながらにきりりと冴えた技で戦った。

▼ジュニア 決勝戦
〇大谷志貴(長野)
×内田琉衣(神奈川)
「打倒大谷君」を掲げ、神奈川で稽古するだけではなく、総本部まで稽古に遠征していた内田君。一方、栗木師範にプライベートレッスンを受けて完成度をあげた大谷君。この2人が決勝で激突。ジュニアとは思えない完成度の高い激戦が繰り広げられました。大谷君は京都市長賞、京都市教育長賞が贈られました。

大谷志貴君(長野)と内田琉衣君(神奈川)の激突。大人もうならせた決勝戦は大谷君が制した。

ジュニアクラスは初の敗者復活戦が同時に行われ、敗者復活戦を勝ち上がり、本戦に戻ってきた内野太郎君(福岡)が、3位決定戦で残念ながら勝ち上がってきた北野右京君(東京総本部)に敗れ、次回大会の雪辱を誓いました。

3位 北野右京君(東京総本部)

▼ユース 決勝戦
〇大越妃依(千葉)
×麻生聖人(東京総本部)

ジュニアクラス時代に王者として君臨した麻生君が、各種大会の経験を積んできた千葉の大越さんに敗れるという波乱が起こりました。

大越妃依選手(千葉)

大越さんには京都市教育長賞が贈られました。

▼一般 無級・級 決勝戦
〇大越妃依(千葉)
×長井萌映子(埼玉)

ユースに続き、一般にもエントリーした大越選手が優勝という、大金星をあげました。

勝負を終えて互いに命をぶつけあい、受け止めてもらったことを感謝する。右大越選手。左長井選手(埼玉)。

3位決定戦には、村岸御幸選手(東京総本部)、樋口陽子選手(埼玉)が勝ち上がり、樋口選手が制しました。

3位決定戦を制した樋口陽子選手(埼玉)。

ベスト4全員が女性という、男女の性別を問題にせず活躍できる鵬玉会の性格をあらわし、新時代を明るくしているようです。

▼一般 初・弐段 決勝戦
〇西方有紀子(インドネシア)
×平田潤(東京総本部)

初・弐段の部を制した西方有紀子選手(インドネシア)。

この大会のためにインドネシア バリ島から帰国した西方選手が優勝。バリ島での支部開設を考える彼女にとって、この優勝は大きな冠になるだろう。

▼一般 参段
〇衛藤豊(神奈川)
×ジュリアーノ熊代(東京総本部)

京都くろ谷金戒光明寺の秋の特別拝観2023の21日間43演武を達成し、凄みを増した衛藤豊選手(神奈川)が優勝。

熊代選手が精度の高い形で衛藤選手を追い詰め、空気が緊張感ではりつめました。
強い選手が決勝を争うことで、選手たち全体の技術があがる見本となりました。
追い詰めた熊代選手に、国際居合道連盟理事会賞が贈られました。

ジュリアーノ熊代選手(東京総本部)。美しい形で会場を魅了した。

2023年、京都くろ谷金戒光明寺 秋の特別拝観の21日間43演武を達成した衛藤選手が優勝。衛藤選手には、鵬玉会会長 武田鵬玉賞が贈られました。
レベルの高い闘いが行われ、会場を魅了しました。

気迫みなぎる吉野選手。

3位決定戦では、吉野隆志選手(長野)が、同部門常勝だった田中知博選手(埼玉)を下すという大金星。吉野選手は全日本では初入賞となりました。

 ▼一般 四段以上
〇栗木六鳳(長野)
×鶴澤和樹(千葉)

史上最年少で錬士の資格を無外流 新名玉宗宗家から允許された栗木六鳳(錬士六段 長野)が決勝を制した。
これで三連覇を達成。

四段以上は、場の空気を変えるような形が続きました。
かつて、安村、栗木、小堀、小林の「四強」と呼ばれた選手たちが戦った時代を彷彿とさせるような戦いが行われました。
参段の部の熊代、四段以上の部の鶴澤のような、決勝で追い詰める選手の登場が技術をあげる見本のような大会となりました。

栗木選手はそれをはねのける、素晴らしい試技で優勝、京都市長賞、無外流明思派宗家 新名玉宗賞が贈られました。

栗木選手を追い詰めた鶴澤和樹選手(千葉)。

また3位決定戦は、森井紀明選手(東京武蔵野)と齋藤正継(東京都心)のライバル対決となり、会場を沸かせました。

(手前)齋藤正継選手(東京都心) (奥)森井紀明選手(東京武蔵野)

2人の対決は、森井選手が気迫で勝り、軍配があがりました。

 【総評】

自由組太刀、無外流らしい、抜き打ちの初太刀で斬る試し斬り、それぞれの大会を通じて技術があがってきたからこそ、形の大会は美しく、かつ迫力が無ければなりません。
相手と実際に戦っている自由組太刀を経たからこそ、敵を見える形でなければなりません。
実際に斬れるからこそ、その姿は斬れる動きでなければなりません。
そんな形の大会をようやくできるようになってきました。

特に、大会終盤の参段の部、四段以上の部の形の完成度は、それ以前のものとはまったく違いました。
この参段、四段以上の激戦を見たそれ以下の方たちは、きっと今後の形ががらりと変わることでしょう。
組織の技量はそうしてあがっていくのです。

参段、四段以上のベスト4以上には特に、そして激戦を戦った選手全員にも賞賛を送りたいと思います。
あの空間に立つことから逃げなかったことが、そもそも勝利なのだと思います。

また、運営面では、進行、配信、メディア対応とレベルが格段にあがりました。
この大会は鵬玉会史に残るであろう大会となりました。
この運営の責任者として、責任を負い、全体を仕切った田中知博埼玉支部長には賞賛を送りたいと思います。
彼は、今年度の大会を仕切り、そのナレッジを積み上げたいと希望しています。
夜に行われた幹部会では満場一致でその希望が認められました。
夏の自由組太刀の全日本大会は東京で行われますが、その準備が田中支部長主導で行われることになりました。
「これが居合だ!」というものを見せましょう。
夏に東京でお会いできるのが楽しみです。

では、東京で会おう。


記録
新選組 箱館戦争155
能登半島大地震チャリティ
「京都武徳殿 第8回全日本居合道 形 選手権大会」

 2024年1月27日(土)
主催 国際居合道連盟鵬玉会
後援 京都市/京都市教育委員会/京都青年会議所
名誉大会実行委員長 門川大作京都市長

【ご祝辞】
麻生太郎 自民党副総裁
山東昭子 参議院議員 第32代参議院議長
門川大作 京都市長
稲田新吾 京都市教育長
移住公一朗 京都青年会議所理事長

橋本周現 京都くろ谷金戒光明寺執事長

【ご挨拶】
新名玉宗 無外流明思派宗家

試合結果
【リトルジュニアの部】
優勝 栗田圭路郎
準優勝 九郎丸譲
3位 北野右京

【ジュニアの部】
優勝 大谷志貴
準優勝 内田琉衣
3位 北野右京

【ユースの部】
優勝 大越妃依
準優勝 麻生聖人
3位 小川凰帝

【一般 級無級の部】
優勝 大越妃依
準優勝 長井萌映子
3位 樋口陽子

【一般 初弐段の部】
優勝 西方有紀子
準優勝 平田潤
3位 小池敏之

【一般 参段の部】
優勝 衛藤豊
準優勝 ジュリアーノ熊代
3位 吉野隆志

【一般 四段以上の部】
優勝 栗木六鳳
準優勝 鶴澤和樹
3位 森井紀明

【特別賞】
≪ 無外流明思派宗家 新名玉宗賞 ≫ 
栗木六鳳

≪ 鵬玉会会長 武田鵬玉賞 ≫
衛藤豊

≪ 京都市長賞 ≫ 
大谷志貴       
栗木六鳳

≪ 京都市教育長賞 ≫ 
大谷志貴           
大越妃依

≪ 国際居合道連盟理事会賞 ≫
ジュリアーノ熊代

≪ 大会実行委員長賞 ≫
岩田信昭

大会のレポート動画は近日

【国際居合道連盟鵬玉会(ほうぎょくかい)について】

総本部道場:〒111-0051 東京都台東区蔵前4-20-10 SCOP21ビル3F会長:武田鵬玉

大会専用Tel:080-4365-6512
本件に関するURL:https://mugai.org/2024/02/05/8th_butokuden_kyoto/
事業内容:無外流居合の指導・普及活動を通じて武士道の醸成に貢献する

唯一の実際に戦う居合の大会。
新選組 箱館戦争155 #2 オープントーナメント「第8回全日本居合道 自由組太刀 選手権大会」
2024年6月29日(土)東京都墨田区総合体育館サブアリーナ
唯一の無外流の形、その抜き打ちの初太刀で斬る試し斬りの大会。
新選組 箱館戦争155 #3 第8回全日本居合道 試し斬り 選手権大会。
秋の大会は地方持ち回りで行われるが、2024年は新選組最後の地、箱館戦争の舞台「箱館五稜郭 箱館奉行所」で行われる。2024年10月26日(土)。

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