1)理事会問答「吹毛方納密」第385回(会員通信より)
(1) 神道流剣術の四通八通
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武田会長(以下会長); 無外流の併伝として学ぶ組太刀は今まで37本だけが公開されていました。
安村副長(以下副長); 仕太刀(勝つ方)と打太刀(負ける方)の動きを別とすると、×2ですから、動き自体は37×2の74本あるんですよね。
会長; そうです。しかし、それそれの組太刀は表の形です。
一般にも知られていいものを表の形として学びます。
私は、ご宗家からそれぞれについての「裏の形」、そして打太刀が仕太刀の技を返せる「返し技」を学びました。その中には組太刀として八通りの太刀の形と四通りの小太刀(脇差)の形があります。
これを四通八通(しつうはっつう)と言います。
夢想権之助って、ご存じですか?
ジュリアーノ熊代国際部長(以下ジュリアーノ); すみません、知りません。
衛藤豊神奈川支部長(以下エトウ); 宮本武蔵と戦った人ですよね?
会長; そうです。
剣聖武蔵に一度負け、福岡の竈門(かまど)神社に籠り開眼し、武蔵ともう一度戦って引き分けたとか。
この夢想権之助はもともと神道流剣術の達人と言われ、それを元に編み出したのが神道夢想流杖道です。
ミノワ; ということは、杖と剣は表裏一体なんでしょうか。
会長; 無外流を極めようとすれば、杖の動きを学ぶことで違うアプローチができるという所以です。
(2) 神道流剣術とは
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ミノワ; 神道流剣術を作ったのは誰ですか?
会長; 天真正伝香取神道流に始まり、鹿島心陰流・鹿島神流として完成した、というのが一説。
これだと飯篠(いいざさ)長威斎(ちょういさい)に始まり、門人松本備前守政信という流れとなる。
ミノワ; ということは別の説があるんですね?
会長; 磐城の国船尾庄の豪族国井源八郎景継が白河鹿島神社(福島県白河市)に参籠して創始。
松本備前守政信と一緒に完成させた、という説もある。
副長; !白河には國井さんという会員がいましたね!
会長; 縁があるんじゃないかなあ、と俺も思ったよ。
そう考えるとおもしろいよね。
副長; 縁があるんですねえ!
会長; この神道流剣術の大元が天真正伝香取神道流だとすると、新当流、示現流、願立流など多くの流派がここから生まれているからね。
みんな、居合道の祖がだれかは知っているよね?
ジュリアーノ; 林崎甚助・・・だったような。
会長; そう。
この林崎甚助も飯篠長威斎に神道流剣術を学んでいる。
その後、25歳で山形県村山市の林崎明神に参籠、夢想剣を得て、神夢想流居合を編み出したそうだ。
この林崎甚助から、田宮平兵衛重正が学び田宮流が生まれ、それに学んだ和田平助正勝が新田宮流、それに学んだ多賀自鏡軒盛政が
ミノワ; 無外流が学ぶ居合ですね!?自鏡流だ!
会長; そう。そこから辻月丹の無外流の中に自鏡流の居合が入ってくるわけだ。
剣術として神道流四通八通を併伝するけど、無外流の中にその流れがある、という二重三重の縁を感じるよね。
副長; 私たちのこの神道流四通八通は、そんな系譜だったんですね。
会長; 第14代宗家の石井悟月師範の弟子だった第15代宗家塩川寶祥先生が、第13代中川士龍先生の弟子で免許皆伝の中嶋浅吉師範から継承した大阪系の四通八通が私たちのものです。
他に東京系、福岡系のものがあります。
(3) 明思派四通八通
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会長; この神道流のものにも実は裏がある。
ミノワ; 裏は実戦的なんですよね?
会長; 何かあったら、実際に戦う必要があったわけやけんね。
この裏を整理して、一般の人にも稽古できるようにしたのが「明思派(めいしは)四通八通」だ。
これを知ったらしびれるよ。
ミノワ; 楽しみです。
会長; しかし、技術がまだない人には危険な技だ。
だから、まずは弐段までは神道流を身につけてもらおう。
参段以上の審査は明思派四通八通だから、高見を目指そうと思うなら、弐段になったらすぐに稽古してほしい。


